菅又シェフが創り出すガトーの真骨頂は、ショーケースに並ぶプチガトー(生ケーキ)の視覚的造形美と、一口食べた瞬間に広がる重層的なフレーバーにあります。ネット上の口コミでも「一口で世界観が変わる」「これまでのケーキの概念が覆された」と絶賛される代表作について、現場での実食検証をもとに詳細に紐解きます。
まず外すことができないのが、リョウラの象徴とも言える「ミルフィユ」です。一般的なパイ生地とは一線を画し、極限まで焼き込まれたフィユタージュ(折りパイ生地)は、口に含んだ瞬間に心地よい苦味と芳醇なバターの香りを放ちます。そこに合わせられるのは、濃厚でありながら重さを一切感じさせないクレーム・ムースリーヌ。ナイフを入れたときの力強いザクッという音と、口溶けの速度の完全な同期は、菅又氏の卓越した焼成技術の賜物です。
さらに、シェフの真骨頂を堪能できるのが、旬の柑橘やベリーを用いた「エクレール」や「季節のタルト」です。ピエール・エルメの哲学を継承しつつ昇華させたその構成は、パッションフルーツやライム、カシスなどのシャープな酸味を、上質なマスカルポーネやガナッシュのコクと見事に調和させています。「菅又シェフの新作スイーツ」が登場するたびに、遠方から足繁く通うコレクター気質のファンが多いのも頷けます。