大手回転寿司チェーンのメニューを開くと、常に人気ランキング上位を独占するのが「サーモン」「炙りサーモン」「オニオンサーモン」です。水産流通関係者への取材や外食産業の仕入れ構造を紐解くと、このサーモン人気の裏には計算された品種の使い分けが存在します。
回転寿司チェーンで提供されるネタの大半は、「アトランティックサーモン」と「トラウトサーモン」の2大養殖魚です。多くのチェーン店では、濃厚な脂の甘みを楽しんでもらうプレーンな握りや大トロサーモンにはアトランティックサーモンを採用し、マヨネーズやチーズを乗せて炙る創作系メニューには、加熱しても身崩れしにくく発色が際立つトラウトサーモンを採用するなど、原価と味のバランスを緻密にコントロールしています。
SNSやネット掲示板上では「回転寿司のサーモンは本物の鮭ではない」といった書き込みが散見されますが、これは半分正解で半分誤解です。生物学的に「白鮭」ではないものの、徹底したコールドチェーン(低温物流)と養殖技術によって、寄生虫のリスクを排除した極めて安全性の高いサケ科の魚が提供されています。
近年では、ノルウェーからの航空便コスト高騰や為替の影響を受け、日本国内の山間部や沿岸部で地下水や閉鎖循環システムを活用した「国産ご当地サーモン(陸上養殖)」の開発が急速に進展。より鮮度が高く環境負荷の低いサーモンが新たな選択肢として台頭しています。