遠野なぎこの家庭環境を語るうえで外せないのが、その壮絶な幼少期の記憶である。自著やテレビ番組、インタビューなどで本人が繰り返し語ってきた内容を時系列で整理すると、彼女の「毒親」体験がいかに過酷なものだったかが浮き彫りになる。
遠野は1979年生まれ。物心ついた頃から、実母による激しい虐待を受けていたと複数のメディアで証言している。具体的には、髪を引っ張られる、殴る蹴るといった身体的暴力に加え、「お前は醜い」「生まなければよかった」といった人格を否定する言葉による精神的虐待が日常的に繰り返されていたという。さらに、食事制限ともいえる行為もあり、幼い彼女は常に飢餓状態にあったとも語っている。
報道各社・関係者の証言によると、これらの虐待は遠野が芸能活動を始めるようになると、より複雑な形に変化していった。娘の収入を管理しようとする母親の姿は、後に遠野自身が「私はATMだった」と表現するほどだった。
こうした経験は、単なる「厳しいしつけ」の域をはるかに超えており、現在では明確に「児童虐待」および「毒親による心理的支配」として理解されるべきものだ。遠野の告白は、2000年代以降に日本社会で広がりを見せた「毒親」という概念を世に浸透させる、ひとつのきっかけになったと言ってよい。