NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』において、タイトルにこの言葉が選ばれた背景には極めて深い意図が存在します。主演の横浜流星が演じた蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)の生涯は、まさに「べらぼう」そのものでした。
吉原の片隅から身を起こした蔦重は、喜多川歌麿や葛飾北斎、東洲斎写楽といった才能を次々と世に送り出し、江戸のメディア界に革命を起こした希代のプロデューサーです。幕府による厳しい出版統制(寛政の改革)に屈することなく、圧倒的な企画力と反骨精神で時代を切り拓きました。
ドラマが提示したメッセージは明白です。「べらぼう」とは、既存のルールや身分制度に縛られず、「常識破りの情熱で時代を面白く塗り替えていく規格外のエネルギー」に他なりません。かつての見世物小屋の悪口から始まった言葉が、自らの才覚一つで道を切り拓く開拓者の代名詞へと昇華された瞬間といえます。