陳麻家が急速に店舗網を拡大したのは2000年代前半のことでした。当時としては斬新だった「本格四川のシビ辛麻婆飯をワンコイン感覚で素早く提供する」というファスト中華のビジネスモデルが当たり、ビジネス街を中心に爆発的な出店ラッシュを記録しました。しかし、その後の急激な店舗数減少の背景には、外食業界特有のフランチャイズ(FC)展開の難しさと、陳麻家の運営会社をめぐる複雑な経緯が存在します。
関係各社の公開資料および外食業界関係者の証言によると、陳麻家のブランド展開は当初の企画運営会社から複数企業へのライセンス供与やエリアフランチャイズ契約の締結を経て、急速に拡散していきました。本部の統制が緩やかなFCシステムであったため、急拡大期にはスピーディな出店を可能にした反面、店舗ごとのオペレーション品質やメニュー構成にバラつきが生じる要因となったのです。
さらに決定的な要因となったのが、陳麻家の閉店理由に直結する「第3次・第4次激辛ブーム」に伴う競合の乱立です。麻辣湯(マーラータン)専門店や本格四川料理チェーンの台頭、さらには大手牛丼チェーンやファミレスによる本格麻婆豆腐の低価格投入により、かつての「陳麻家ならではの唯一無二感」が相対的に薄れていきました。これに加え、店舗の老朽化や原材料費・人件費の高騰、契約更新時期におけるオーナーの業態転換や独立が重なり、店舗数が大きく整理される結果となったのです。