田中卓志さんの知性の根幹にあるのが、国公立大学の中でも高い評価を受ける広島大学工学部第四類(建設・環境系)での4年間にわたるハードな研究生活です。同専攻は構造力学、環境工学、都市計画、意匠設計などを網羅的に学ぶハードなカリキュラムで知られ、課題制作の時期には製図室に泊まり込む学生が続出する過酷な環境として知られています。
当時の田中さんも例外ではなく、膨大な手描き製図やCADソフトを用いた図面作成、模型製作に没頭していました。卒業設計では自らコンセプトを立ち上げ、構造計算から外観デザインまで緻密に計算された建築プランを完成させています。当時のエピソードとして、深夜までトレース作業を続けながらラジオを聴いていた経験が、後の芸人人生への憧れに繋がったと本人の手記でも明かされています。
単に「建築が好き」という趣味の領域ではなく、建物の荷重分散、柱や梁にかかる応力、耐震壁の配置バランスといった工学的な基礎理論を体系的に叩き込まれているからこそ、図面を一目見ただけで建物の欠陥や優れた工夫を瞬時に見抜くことができるのです。