2017年から2019年にかけてのタピオカや高級食パンと並ぶスイーツブームにおいて、原宿本店前には連日長蛇の列ができ、テレビ番組や情報誌で「最大7時間待ちの伝説」として報じられました。しかし、なぜその後一部の店舗で閉店が相次いだのでしょうか。
飲食業界のアナリストや店舗運営の構造を分析すると、以下の3つの明確な要因が存在します。
第一に、「オペレーション構造上の提供限界」です。一般的なディップ式アイスクリームやソフトクリームと異なり、ロールアイスはマイナス10度以下に冷却したコールドプレートの上に液状のベースを流し込み、ヘラ(スクレーパー)でミックスイン食材を叩き刻み、薄く伸ばして均一に巻き上げるという職人的な手作業工程を要します。1カップ完成させるのに最低でも2〜3分かかるため、客席回転数と時間あたりの製造数(スループット)に物理的な上限がありました。
第二に、「純粋なインスタ映え消費の一巡」です。SNSに写真を投稿すること自体が目的だったライト層は、次の新奇なトレンドスイーツへと移り変わっていきました。日常的に高頻度でリピート利用する業態ではないため、ブーム沈静化とともに客足が落ち着くのは不可避でした。
ここでロールアイスクリームファクトリーの運営会社が下した決断こそが、「IP(キャラクター・アニメ・アイドル)コラボ特化型スイーツエンタメ」への業態昇華でした。池袋や渋谷といったサブカルチャーの発信地に旗艦店を構え、期間限定のキャラクターコラボアイス、描き下ろしイラストを使用したノベルティ(アクリルスタンドやコースター)を展開することで、「ファンが聖地として必ず訪れる空間」を創出。話題性だけに頼らない強固な収益基盤の構築に成功したのです。