SNSやネット掲示板では、体操の日本代表選考に関して「NHK杯で勝った選手がそのまま全員代表になる」「Dスコア(大技)さえ上げれば勝てる」といった誤解が散見されます。しかし、現代体操の選考システムはより多角的でシビアです。
第1の盲点は、「NHK杯単体の順位=代表決定」ではないという点です。前述の通り、4月の全日本選手権からの総合成績(持ち点加算)で評価されるため、仮にNHK杯の当日に単日1位のスコアを出したとしても、全日本でのミスによるビハインドが響いて代表枠を逃すケースが過去に幾度も存在します。
第2の盲点は、「Eスコア(美しさ・減点基準)の配重化」です。国際体操連盟(FIG)の採点規則改定以降、技の難度を示すDスコアを無理に引き上げるよりも、足先の乱れや着地のブレによるEスコアの微細な減点を防ぐ方が総合得点で圧倒的に優位に立ちます。ネット上で「なぜあの選手が大技を成功させたのにスコアが伸びないのか」と疑問視される場面の多くは、倒立の角度やひねり不足による0.1〜0.3点単位の厳格な減点に起因しています。