情報空間で語られる言説の中には、当事者をかえって追い詰めたり、事態を悪化させたりする誤解が少なくありません。代表的な3つの誤解を正します。
誤解1:「時間が経てば誰でも自然に100%回復する」という思い込み
「時薬(ときぐすり)」という言葉がある通り、時間経過による心理的適応は期待できます。しかし、空の巣による空虚感を埋めるために、アルコール依存や過度な買い物依存、ギャンブルに逃避してしまうケースが後を絶ちません。適切な感情処理を行わないまま放置することは、別の依存症や身体疾患を招くリスクを孕んでいます。
誤解2:「頻繁に連絡を取ったり帰省させたりすれば解決する」という錯覚
寂しさを紛らわせるために子どもへ過度な連絡を強要したり、週末ごとの帰省を求めたりすることは、一見すると親のメンタルを安定させるように見えます。しかしこれは、子どもの健全な心理的分離・社会化を阻害する行為に他なりません。親が自身の課題を子どもに肩代わりさせる構造を作り出してしまい、将来的な親子関係の破綻を招きます。
誤解3:「夫婦2人で仲良く過ごせばすべて解決する」という短絡
「子どもが巣立ったら夫婦水入らずで旅行でも」というアドバイスが頻繁になされますが、長年「育児の共同責任者」としてのみ機能してきた夫婦の場合、突然の2人きりの生活はかえってストレス源になります。お互いの心理的距離感を無視して無理に距離を詰めようとすると、衝突や熟年離婚のリスクを高めてしまいます。