映画『君の名は。』かたわれ時の真相|方言の謎と黄昏時との決定打

映画『君の名は。』かたわれ時の真相|方言の謎と黄昏時との決定打

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立花瀧と宮水三葉の再会シーンは、単なるファンタジーの偶然ではありません。それまでに積み重ねられた「時間・空間・生死」のルールが完璧に合致した必然の帰結でした。

瀧が生きていたのは三葉の死から3年後の2016年、三葉が生きていたのはティアマト彗星が分裂・落下した2013年です。本来交わることのない二人がなぜ直接顔を合わせ、言葉を交わすことができたのか。そこには二つの絶対条件が存在しました。

一つは、宮水神社の御神体が鎮座するカルデラの山頂が「隠世(かくりよ=あの世)」の境界線であったこと。三葉の祖母・一葉が語った通り、御神体の向こう側は神の領域であり、そこから現世へ戻るには「自らの最も大切なもの」を引き換えにしなければなりません。瀧は三葉の口噛み酒を飲み、三葉の魂と再同期することで境界を踏み越えました。

そしてもう一つが、昼と夜の境目である「かたわれ時」の到来です。御神体という異界の空間特性と、世界の輪郭が溶け去る時間の特性が掛け合わさった結果、3年という時間のズレがゼロになり、生者と死者の境目が無効化されたのです。

この奇跡を極限まで高めたのが、RADWIMPSが手掛けた劇中曲「かたわれ時」の音響演出でした。二人がお互いの気配を感じながら山頂の尾根をすれ違い、夕陽の沈む瞬間にピタリと足をとめる。ミニマルなピアノの単音から始まり、オーケストレーションが感情の昂ぶりとともにクレッシェンドしていく構成は、鳥肌の立つようなカタルシスをもたらしました。マジックアワーの光彩と劇伴の波長が完璧にシンクロした、アニメーション史に残る名場面です。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。