学生時代に一世を風靡したランナーたちですが、箱根を降りた後の現役生活や引退後のキャリアは三者三様であり、多くのドラマを内包しています。歴代山の神の現在と進路を追うと、山登りのスペシャリストゆえの苦悩と、そこからの力強い再生が見て取れます。
初代の今井正人選手は、トヨタ自動車九州へ進み、マラソンランナーとして日本代表に選出されるなど第一線で長く活躍しました。2015年の東京マラソンでは日本歴代6位(当時)となる2時間7分39秒を記録。「山登り専門」という世間の偏見を見事に打ち破り、2024年に現役を引退した後は母校・順天堂大学陸上競技部のコーチに就任。次世代の育成に情熱を注いでいます。
二代目の柏原竜二選手は実業団の富士通へ進んだものの、学生時代に酷使した身体の故障や度重なる怪我に苦しめられ、2017年に27歳の若さで現役引退を決断しました。しかし引退後、同社のアスリートナビゲーターや広報業務を務めつつ、文化放送の駅伝中継解説やアニメ・ゲーム関連のメディア活動など多彩な才能を開花。持ち前の言語化能力と温かい人柄で、スポーツ界を支える唯一無二のコメンテーターとして活躍を続けています。
三代目の神野大地選手はコニカミノルタを退社後、実業団に依存しないプロランナーとしての道を選択しました。自らのマネジメント会社を設立し、スポンサー獲得やYouTubeでの情報発信、合宿の企画など、現代的なアスリート像を自ら切り拓いています。MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)への挑戦を続けるなど、競技者としての情熱を燃やし続けています。
また、近年の箱根路を沸かせた山本唯翔選手は城西大学を卒業後、実業団の名門・住友電工へ進路を選択。トラック競技でのスピード強化と将来のマラソン進出を見据え、平地でも通用するトップランナーを目指して新たな挑戦を続けています。