かつての大戸屋は、すべての店舗で大根をおろし、出汁を引き、炭火で魚を焼いていた。それがブランドの誇りであり、ファンを惹きつける最大の魅力だった。しかし、そのこだわりは現場の疲弊と引き換えに成り立っていたのも事実だ。ガイアのカメラは、深夜まで仕込みに追われる店長たちのリアルな姿を冷徹に映し出していた。
効率を求めるコロワイドによる敵対的買収は、当時のファンに強い拒絶反応を引き起こした。「味が変わってしまうのではないか」「セントラルキッチンで作られた温めるだけの料理に成り下がるのではないか」という懸念だ。あの時、ブランドの魂とも言える「手作り」は風前の灯火に見えた。