調教師になるには?合格率と年収の真実・試験難易度と厩舎開業の現実

調教師になるには?合格率と年収の真実・試験難易度と厩舎開業の現実

調教師になるには?合格率と年収の真実・試験難易度と厩舎開業の現実の詳細について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

日本国内で調教師として厩舎を構えるためには、農林水産省の認可を受けた特殊法人である「日本中央競馬会(JRA)」または「地方競馬全国協会(NAR)」が実施する調教師免許試験を突破しなければなりません。なかでも世界最高峰の賞金水準を誇る中央競馬のJRA調教師免許は、国内最難関資格の1つとして知られています。

受験資格において最初に立ちはだかるハードルが調教師の受験資格と年齢制限です。競馬施行規則により「満28歳以上」であることが定められており、若手の登竜門というよりは、現場での実務経験と社会人としての分別を備えた人物をふるいにかける仕組みが敷かれています。学歴要件は設けられていませんが、現実的には競馬学校の厩務員課程を修了して厩舎でキャリアを積んだ調教助手、あるいは現役のプロ騎手が受験者の大半を占めています。

試験内容は極めて広範かつ高度です。第1次試験(筆記)では、競馬法や日本中央競馬会法、労働基準法などの「関係法規」、生理学や運動学を含む「調教に関する専門知識」、感染症や骨軟骨症などの獣医学的知見を問う「馬や競馬に関する専門知識」の3科目が課されます。これらを突破した者だけが進める第2次試験では、人物面接、身体検査、さらには実技・模擬調教を通じた調教技術の審査が待っています。

近年の調教師の合格率は、受験者約120〜140名に対して合格者がわずか3〜5名程度にとどまり、実質合格率は約3%〜5%の狭き門です。司法試験や公認会計士試験などの三大国家資格に匹敵する数字であり、10回以上挑戦を続けても合格に手が届かないベテラン調教助手も珍しくありません。

さらに近年、業界内で大きな議論を呼んでいるのが「言語の壁」です。JRAの公式規定では試験言語に日本語以外の使用を認めておらず、記述式問題や面接において高度な母国語レベルの日本語運用能力が要求されます。過去にはJRA通算1,000勝以上を挙げた世界的名手ミルコ・デムーロ元騎手などが日本での調教師免許取得を目指したものの、膨大な法令解釈や専門用語の日本語記述という巨大な障壁の前に事実上の断念を余儀なくされた経緯があります。2026年を経て2026年現在に至るまで、外国人による調教師試験合格者が1人も誕生していない事実は、この試験の特異な難易度を物語っています。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。