物語の軸となる奇跡を呼ぶ男のあらすじは、軽快な詐欺の手口と人間の生々しいエゴ、そして魂の救済が交錯するスリリングな展開が特徴です。
主人公のジョナス・ナイチンゲールは、専属のゴスペル聖歌隊と大掛かりな舞台装置、そして無線インカムを駆使したサクラ部隊を引き連れ、アメリカ各地の田舎町を移動しながら「奇跡の信仰治療」を売りにする興行師です。ある日、移動用バスの故障によって一行が足止めを食らったのは、深刻な干ばつによって農作物が枯れ果て、町民全体が経済的・精神的に破綻寸前に追い込まれていた貧しい田舎町でした。
ジョナスはこの絶望的な町を格好の標的と定め、巨大なテントを張り、言葉巧みに「信じれば雨は降り、病は治る」と説いて町民から最後の蓄えを献金として吸い上げていきます。しかし、町の若き女性や、事故で歩けなくなった車椅子の少年、そしてジョナスのペテンを暴こうと執念深く追及する地元保安官との対峙を通じて、事態は思わぬ方向へ転がり始めます。
物語のクライマックスにおける結末のネタバレと核心は、まさにタイトルの通り「偽物が起こしてしまった本物の奇跡」にあります。ジョナス自身が仕組んだ演出ではなく、車椅子の少年が純粋な祈りと信仰心によって自らの足で立ち上がるという、科学では説明のつかない事象が衆人環視の中で発生します。さらに、長年一滴も降らなかった乾いた大地に、突如として恵みの豪雨が降り注ぎます。
自らが語っていた「神の奇跡」が嘘から現実になった瞬間、ジョナスは自らの小ささと欺瞞の罪深さに打ちのめされます。彼は集まった莫大な献金をすべて町に残し、雨の中をひとり静かに去っていくという、切なくも深い余韻を残すエンディングを迎えます。