花田優一氏の靴トラブルが全国的な関心を集めたのは、2018年秋のことでした。複数の週刊誌(『週刊文春』『女性自身』等)が、花田氏に完全フルオーダーの靴を注文した顧客から「1年以上待っても商品が納品されない」「連絡をしても折り返しがない」という悲痛な告発を相次いで報じたことが発端です。
トラブルの最大の原因は、「キャパシティを大幅に超える受注」と「メディア露出による職人作業の逼迫」という構造的な矛盾にありました。完全な手縫いによるビスポークシューズ(注文靴)は、足型の採寸、木型の削り出し、革の裁断、仮縫い、手縫いによる底付けなど、膨大な工程を要します。熟練の職人であっても1足仕上げるのに数十時間を費やし、年間でも数十足の製作が限界とされます。
当時、花田氏はゴールデンタイムのバラエティ番組やラジオ番組にレギュラー出演し、タレント業務に追われていました。報道各社の取材データによると、靴のオーダー価格は1足あたり15万円から20万円前後(仕様によってはそれ以上)で、数十人単位の注文を前金、あるいは高額な手付金とともに受け付けていたとされています。しかし、工房で実際に革と向き合う時間は極端に減少し、納期遅延が常態化していきました。
さらに事態を悪化させたのが、納期の遅れを顧客に事前連絡せず、催促を受けても「製作中」「もう少し待ってほしい」と引き延ばしを重ねたコミュニケーション不全でした。堪忍袋の緒が切れた顧客が返金を要求しても、現金が速やかに返金されなかったことで「代金を騙し取られたのではないか」という疑念を生み、所属芸能事務所に苦情が殺到する事態へと発展したのです。