制作費が削られる一方で、一部のトップタレントに対する司会者テレビ出演料は高止まりを続け、むしろ争奪戦により高騰する現象が起きています。週刊誌の芸能人ギャラランキングで毎年のように首位に名を連ねる内村光良氏、有吉弘行氏、マツコ・デラックス氏、くりぃむしちゅー上田晋也氏、さらには朝の顔として定着した川島明(麒麟)氏や独自の構成力を持つバカリズム氏らは、なぜ1本200万〜300万円もの高額ギャラを勝ち取れるのでしょうか。
その決定的な理由は、テレビ業界の指標が「世帯視聴率」から「コア視聴率(13歳〜49歳)」および「TVer総合再生数」へと完全に切り替わった点にあります。
スポンサー企業が求めるのは、購買力と拡散力を持つ若年・ファミリー層へのリーチです。どれほど世帯視聴率が2桁に乗っていても、視聴者の大半が高齢者であればCM出稿単価は上がりにくいのが現実です。逆に、コア層を確実にテレビの前に座らせ、放送後にX(旧Twitter)でトレンド入りさせ、TVerのお気に入り登録数を数十万規模で伸ばせる司会者は、番組制作費全体の3割を支払ってでも起用する価値があるのです。
さらに、番組制作現場における「炎上リスクの極小化」と「進行の安定感」もギャラ高騰を後押ししています。生放送や長時間の収録において、不適切な発言を瞬時に軌道修正し、どんなゲストでも面白く引き立てられる進行スキルは、テレビ局にとって最大のセーフティネットです。テレビ局幹部は「1本200万円払ってでもトラブルなく数字を取ってくれるMCのほうが、1本50万円で編集に膨大な手間がかかり炎上リスクを抱える若手を使うより、結果的に制作コストが安くつく」と証言しています。