近年、沖縄各地の海岸で「以前に比べて星の砂が見つかりにくくなった」という現地ガイドや研究者の報告が相次いでいます。海洋生物学者や環境省の調査によると、星の砂の減少には複合的な環境要因と人的負荷が深く関わっています。
最大の直接的要因は、地球温暖化に伴う海水温の上昇とサンゴ礁の白化現象です。有孔虫は造礁サンゴや特定の大型海藻(ホンダワラ類など)の表面を生息基盤としています。海水温の異常上昇によって共生藻類がダメージを受け、サンゴや海藻群落が衰退すると、有孔虫そのものの繁殖基盤が失われて個体数が激減します。海洋酸性化の進行によって、炭酸カルシウムの殻自体が形成されにくくなっている点も深刻な課題です。
さらに、観光客の過剰な集中による物理的破砕と持ち去りも見過ごせません。脆い炭酸カルシウムでできた殻は、多くの人々が波打ち際を踏み歩くことによって容易に粉砕され、ただの白い粉末状の砂へと変化してしまいます。過去の大量採取によって自然の再生産速度を上回るペースで資源が収奪された結果、現在のような保護体制が敷かれることとなりました。
現在、竹富町をはじめとする八重山地域では、観光客に「自然を消費するのではなく、あるがままを観察して保護する」エコツーリズムへの転換を強く呼びかけています。星の砂が持つ歴史と生態系を知ることは、沖縄の豊かなサンゴ礁を守る環境意識の第一歩と言えます。