トゥーフェイスの起源を紐解くと、紀元前のアテネで花開いた古代ギリシャ演劇の仮面(ソックとバスキン)に行き着きます。喜劇を司る女神タレイアの笑い顔と、悲劇を司る女神メルポメネの泣き顔が対になったこのシンボルは、長らく演劇や芸術全般を象徴するエンブレムとして世界中で用いられてきました。
この伝統的な劇団のシンボルが、今日のようなアンダーグラウンドで反骨精神に満ちたタトゥーへと変化を遂げた舞台は、20世紀中盤から後半にかけてのアメリカ・ロサンゼルスです。メキシコ系アメリカ人(チカーノ)のコミュニティにおいて、差別や貧困、抗争といった過酷な環境を生き抜く若者たち(パチューコやチョロ)が自らのアイデンティティとして取り入れ始めました。
刑務所内でのプリズンタトゥーやローライダーカルチャー、独自のブラック&グレイ技法と融合することで、ツーフェイスタトゥーは「ストリートの掟」と「家族・仲間への忠誠」を象徴するチカーノタトゥーの金字塔となったのです。当時のカルチャーシーンの記録や当事者たちの回顧録を辿ると、「どんな理不尽な状況でも弱音を吐くな」という合言葉が、この二連の仮面と共に仲間同士で共有されていた生々しい背景が浮かび上がってきます。