女性政治家の登用を巡る言説の中には、永田町の現場実態から乖離した誤解が数多く見られます。特に検証が必要な3つの盲点を整理します。
第1の誤解は、「女性議員を増やせば、自動的に女性支援や子育て政策が前進する」という単純化された図式です。政治学の研究や各国の議会動向を見ても、女性議員の思想信条は男性同様に多種多様です。国防や財政規律を最優先するタカ派の女性議員もいれば、社会保障を重視する議員もいます。女性議員を一括りにして「子育て・福祉枠」に押し込める発想そのものが、永田町の旧態依然としたジェンダー観の裏返しに他なりません。
第2の盲点は、「女性議員の進出を阻んでいるのは男性議員の陰謀だけである」という見方です。もちろん男性優位の長老支配は存在しますが、より深刻なのは地方組織の構造です。地方議会や選挙区の自民党地域支部を支えている後援会組織の幹部は、高齢男性が圧倒的多数を占めています。「冠婚葬祭に顔を出し、夜の酒席に付き合える候補者」を良しとする古い政治文化が、家庭責任を背負わされがちな女性候補の参入を無意識のうちに排除してきた現実があります。
第3の誤解は、「大臣ポストに就任することが政治家としての頂点である」という認識です。日本の政治構造において、真の政策決定プロセスは「自民党政務調査会(政調)」の部会で握られています。大臣として官僚が書いた答弁書を読む立場になることよりも、政調の会長や部会長として法案審査の現場を仕切ることの方が、実質的な権力を持つケースは少なくありません。女性政治家がどの程度「党内政策決定の中枢」に食い込んでいるかを見なければ、本当の政治的影響力は測定できません。