手元の紙幣が破れた際、誰もが最初に思い浮かべるのが「セロハンテープで留めて、そのままコンビニやスーパーで使えないか」という疑問です。しかし、流通現場のオペレーションや機械の仕組みを考慮すると、破れた紙幣は店で使えるかという問いに対する答えは、原則として「極めて困難であり、避けるべき」となります。
店舗のレジに設置されている自動釣銭機や街中の自動販売機、駅の券売機は、紙幣の厚み、磁気情報、光学的な光の透過度を極めて精密なセンサーで検知しています。セロハンテープを貼った紙幣を機械に投入すると、テープの厚みや光の反射によって異物とみなされ、紙幣詰まりを引き起こす原因になります。最悪の場合、機械を故障させて営業を妨害する事態にも発展しかねません。
対面レジでの支払いであっても、店舗側には破損した紙幣の受取を拒絶する正当な権利があります。破れ目が確認できる紙幣を受け取ってしまうと、店舗が売上金を銀行へ入金する際に機械処理ではじかれ、窓口での再鑑定を強いられるなどの業務コストが発生するためです。
また、個人で応急処置を行う際のセロハンテープ補修の注意点として、銀行関係者や鑑定のプロは強い警鐘を鳴らしています。市販のセロハンテープは年月が経つと粘着剤が酸化して黄色く変色し、紙幣の繊維そのものを劣化させます。さらに、銀行窓口で残存面積を精密計測する際、テープが重なって貼られていると正確な面積が測れず、慎重に剥がす作業だけで余計な時間を要することになります。万が一破れてしまったら、テープを貼らずに破片をそのまま保管するのが鉄則です。