スクランブル化の議論をさらに決定的な局面へと追い込んでいるのが、2026年の改正放送法成立を経て、2026年秋から2026年にかけて段階的に施行された「NHKのインターネット配信必須業務化」です。
これまでNHKにとってインターネット業務(NHKプラスなど)は、放送を補完する「任意業務」という位置づけに過ぎませんでした。しかし、テレビを持たない若年層の急増を受けて、放送法上の位置づけが放送と同等の「本来業務(必須業務)」へと格上げされました。これに伴い、「テレビ受像機を持っていなくても、スマートフォンやPCでNHKの配信アプリをダウンロードし、利用登録を行って能動的に視聴できる状態にした者」を対象とする「ネット受信料」の徴収制度が正式に動き出しました。
この制度改正にあたり、総務省の有識者会議でもスクランブル化に相当する「ログイン認証(ID・パスワードによる視聴制限)」が当然の前提として組み込まれました。皮肉なことに、電波の地上波では頑なに拒み続けてきた「契約者だけに見せる仕組み」が、ネット配信の領域では「ログインしなければ見られない=実質的なスクランブル化」としてあっさりと導入されたのです。
この二重基準に対して、視聴者からは「ネットでID制御ができるのなら、なぜ地上波の電波でも同じように契約者だけの認証制にしないのか」という追及が再び巻き起こっています。地上波では全員から徴収し、ネットでは能動的利用者を囲い込むというNHKの戦略は、受信料制度の正当性をめぐる議論を沈静化させるどころか、火に油を注ぐ結果となっています。