ネットニュースや検索エンジンが抱える最大の構造的欠陥は、「地上波テレビに出ていない俳優=活動停止している」と短絡的に結論づけてしまう点にあります。
実際には、舞台演劇、ミニシアター系アート映画、声の出演、演技ワークショップの講師など、表現者の活躍フィールドは地上波キー局の外側に広大に広がっています。特に70代を迎えた名脇役俳優たちにとって、拘束時間が長く体力的な消耗が激しい民放連続ドラマよりも、自らの美意識を100%注ぎ込める小劇場や単館映画の方が魅力的な創作現場となるのは自然な帰結です。
ネット上の「引退説」や「病気療養説」は、画面の向こう側の情報しか受け取れない受動的な視聴者層が作り出した虚像に過ぎません。北見敏之は今なお、誰よりも能動的に演劇空間を統率するプロデューサーとして、現場の空気を支配しています。