元少年A手記『絶歌』の内容とは?犯行の深層と出所後の現在を徹底解剖

元少年A手記『絶歌』の内容とは?犯行の深層と出所後の現在を徹底解剖

元少年A手記『絶歌』の内容とは?犯行の深層と出所後の現在を徹底解剖とは一体何なのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。

『絶歌』の出版は、極秘裏に進められたプロジェクトでした。発行元となった太田出版および担当編集者は、出版の正当性として「重大事件を起こした当事者がその内面を公に語ることは、同種犯罪の抑止や少年犯罪の精神構造を理解する上で社会的意義がある」という論理を掲げました。しかし、その刊行プロセスは極めて一方的なものでした。

2015年6月の出版直後、土師淳くん(当時11歳)の父・土師守さんをはじめとする被害者遺族は即座に猛抗議を行いました。遺族のもとには、出版物が見本刷りの段階で一方的に送りつけられただけであり、事前の相談や合意形成は皆無でした。土師守さんは「遺族の心情を再び踏みにじる行為であり、出版を中止し、回収することを強く求める」との声明を発表。全国の主要書店でも対応が割れ、紀伊國屋書店や有隣堂などが陳列の見合わせや在庫の引き上げ、注文対応のみとする異例の対応を講じました。

さらに世論の反発を決定づけたのが印税問題です。手記は瞬く間にベストセラーとなり、数千万円規模の印税が発生しました。欧米諸国では、犯罪者が自らの犯罪体験を商業的に利用して利益を得ることを禁止する「サムの息子法(Son of Sam law)」が存在しますが、日本には当時も現在も同様の法規制が存在しません。犯罪行為そのものが巨額の金銭を生み出す構造に対して、法曹関係者や一般市民から「遺族への賠償に全額充当されるべきだ」「加害者の商業主義を許すな」という厳しい批判の声が殺到しました。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。