最終盤において最大の焦点となったのは、「品川真珠は本当に冷酷な連続殺人鬼なのか」という点でした。裁判とアラタの独自調査が進むにつれ、世間を震撼させた「品川ピエロ事件」のグロテスクな構図は根底から覆されることになります。
真相は、真珠の母親である品川幸子の存在と、真珠自身の壮絶な境遇にありました。真珠は出生届すら出されていない「無戸籍児童」として、外界から完全に遮断されたゴミ屋敷で育ちました。母・幸子からの日常的な暴力とネグレクトを受け続け、社会的な常識はおろか「自分が何者であるか」すら教えられずに育ったのです。事件の犠牲となった男性たちとの関係も、快楽殺人ではなく、自分と母を巡る搾取と暴力の連鎖が生んだ悲劇的な結末でした。
法廷において、アラタと弁護士の宮前は検察側の杜撰な立証と真珠の精神的支配の構造を白日の下に晒します。その結果、一審の死刑判決は破棄され、最終的に真珠は死刑を回避し、懲役刑(有期刑)の判決を受けることになります。そして迎えた最終話(第92話)。刑期を終えて社会へと戻ってきた真珠を、面会室の外で待っていたのはアラタでした。虚飾のプロポーズから始まったふたりの契約は、欺瞞をすべて削ぎ落とした末の「本物の夫婦の絆」として新たな一歩を踏み出す結末を迎えたのです。