お笑い界におけるルックス評価の歴史を紐解くと、大きな転換点が二度存在します。一度目は1999年から本格化した「吉本男前ランキング」の隆盛です。歴代殿堂入りを果たしたロンドンブーツ1号2号の田村亮、チュートリアルの徳井義実、ライセンスの藤原一裕、次長課長の井上聡らは、正統派俳優顔負けの甘いマスクで社会現象を巻き起こしました。当時のテレビバラエティは「イケメンなのに変態的なネタをやる」「かっこいいのに情けない」という落差を笑いに昇華させる手法が主流でした。
二度目の転換点は、バラエティ番組『ロンドンハーツ』の名物企画「芸人奇跡の一枚」です。プロのヘアメイクとライティング技術により、普段はブサイクキャラや地味キャラとして扱われていた芸人が息を呑むほどの美男美女に変身する様は、視聴者に強烈なインパクトを与えました。この企画が示したのは、「芸人の顔立ちは素材として極めてポテンシャルが高い」という事実です。
そして現在、隠れイケメン芸人の発掘ルートはテレビからSNSやYouTubeの密着ドキュメンタリーへと完全移行しました。若手時代の写真と現在の姿を比較するコンテンツはネット上で頻繁にバズを生み出しています。売れない下積み時代の野暮ったい姿から、劇場でスポットライトを浴び、ファンに見られることで磨かれていく「垢抜けの軌跡」そのものが、ファンにとっての熱い鑑賞体験となっているのです。