パートナーが一切謝らない家庭環境において、配偶者の精神は限界まで追い詰められていきます。SNSや掲示板、当事者家族会などで見られるアスペルガー配偶者ネットの反応を精査すると、そこには共通する痛切な叫びが溢れています。
「熱を出して寝込んでいる横で『飯はまだか』と平然と聞かれ、泣いて抗議したら『熱があるなら事前に何時までに治るか報告すべきだ』と怒鳴られた」「子どもの前で暴言を吐かれ、後から『あれは傷ついた』と伝えても『事実を言ったまでで謝る理由がない』の一点張り」。こうした生々しい体験談は、ネット空間に留まらず、多くの心療内科の問診票に連日書き込まれています。
情緒的な相互交流が長期にわたって断絶し、周囲に苦しみを理解されない孤立感から、配偶者が不眠、偏頭痛、激しい抑うつ状態に陥る病態は「カサンドラ症候群」と呼ばれます。アスペルガー夫婦関係の現在をめぐっては、家庭内別居や離婚調停にまで発展する事例が後を絶ちません。最も深刻なのは、配偶者側が「私の伝え方が悪いのではないか」「もっと優しく接すれば分かってくれるのではないか」と自責の念を深め、共倒れになってしまう構図です。
家族問題に詳しい臨床心理士の聞き取り調査でも、カサンドラ症候群に陥る配偶者の多くが「相手からの謝罪の言葉を諦めきれず、何時間も論争を繰り返して心身を削り取られた」と証言しています。謝罪を求めること自体が、かえって自らの傷口を広げる結果につながっている過酷な現実があります。