期待作だったはずの大型アニメ化が、なぜ業界を揺るがすスキャンダルへと転落していったのか。事態の推移を時系列で追うと、制作体制の構造的な脆さが浮き彫りになります。
事の発端は、2020年11月19日に開催された新情報発表会および公開された第2弾PV・メインビジュアルでした。主人公・皇昴流(すめらぎすばる)が纏う陰陽師装束と、双子の姉・皇北都(すめらぎほくと)の私服ビジュアルが世に出た直後、SNS上のカルチャーファンから即座に「完全な一致」が告発されたのです。
検証の結果、皇昴流の衣装デザインは韓国の人気女性アイドルグループRed Velvetのメンバー・イェリが2019年に着用していた衣装と胸元のカッティングや装飾パーツまで酷似。さらに皇北都の衣装に至っては、有名ドールメーカー・ボークス(VOLKS)が販売していたドール用ドレス『月夜の乙女』の意匠をほぼそのままトレースした状態であることが判明しました。ネット上での盗作・パクリ比較画像は瞬く間に拡散し、瞬時に火の手が広がりました。
翌12月、製作委員会は事実関係を認め、「コンプライアンス意識の欠如」を謝罪。当初予定されていた2021年4月の放送を延期し、是正に向けた社内検証を行うと発表しました。しかし、事態はこれだけでは終わりませんでした。製作委員会が第三者を交えてGoHands社内の全素材を徹底調査したところ、公開されていた2点にとどまらず、作中の衣装やプロップ設定など数十箇所に及ぶ無断模倣・著作権侵害の疑いが次々と明るみに出たのです。
この結果を受け、原作者サイドであるCLAMPの公式発表および製作委員会は「制作会社との信頼関係の完全な欠如により、制作続行は不可能」と断定。2021年3月29日、プロジェクトの完全中止が正式に告げられました。