ここで一つの疑問が生じます。これほどの美貌と演技力を持ちながら、なぜ中居正広はバラエティにおいて「歌が下手」「音痴」「モテない」「ケチ」といった三枚目のパブリックイメージを自ら積極的に構築していったのでしょうか。
メディア社会学およびグループダイナミクスの観点から分析すると、そこにはSMAPという巨大グループを国民的スターへ押し上げるための極めて高度かつ冷徹な戦略が存在していました。
SMAPには、誰もが認める絶対的エースであり「時代のアイコン」となった木村拓哉が君臨していました。もしリーダーである中居までもが「正統派の二枚目路線」に固執していたらどうなっていたでしょうか。グループ内のキャラクターが重複し、視聴者に与える印象は単なる「美男子集団」にとどまっていた可能性が高いと言えます。
中居正広は過去の手記やインタビューにおいて、「自分がピエロになり、いじられる隙を作ることで、番組全体が回り、メンバーそれぞれの個性が際立つ」という趣旨の哲学を一貫して語っています。自らの卓越した容姿をあえて棚上げし、泥をかぶる役割を自認したこと――これこそが、男性視聴者からの共感をも獲得し、SMAPを「お茶の間の共通言語」へと昇華させた最大の要因でした。