放送直前になると「大物海外アーティストの電撃生中継」「活動休止中グループの限定復活」「未発表の特別ゲスト乱入」といった真偽不明の情報がネットニュースやゴシップ誌を賑わせます。しかし、紅白特別企画コラボ楽曲の成立過程を綿密に追跡すると、突発的な思いつきによるサプライズはほぼ存在せず、数ヶ月前から綿密に計算された「必然性のあるコラボ」であることが分かります。
近年のサプライズ枠は、単なる驚きを提供するだけでなく、日本のポピュラー音楽史の文脈を再編する意義を持たされています。例えば、かつてライバル関係とされた同時代スター同士のデュエットや、サブカルチャー発のボーカロイド・VTuberとクラシック界の巨匠によるジャンル横断型コラボレーションがこれに該当します。
「直前までシークレット」とされる枠であっても、照明プランやカメラワーク、特効(特殊効果)の準備には膨大なリハーサルが必要です。NHKホールの舞台裏では、本番前々日・前日の全体リハーサルにおいて徹底した動線管理が行われており、ネット上の噂の9割は憶測に過ぎないものの、残る1割の「本物のサプライズ」は番組終盤の視聴熱を一気に最高潮へと導く導火線として機能します。