SNSや人生相談の現場、各種コミュニティにおいて「良いことと悪いこと」に関してどのようなリアルな葛藤が交わされているのか、調査データを基に分析します。
近年、特に20代〜40代のビジネスパーソンや子育て世代の間で顕著に見られるのが「幸福恐怖症(Cherophobia:カイロフォビア)」と呼ばれる心理状態です。「結婚が決まった途端に親族トラブルが発生した」「昇給した翌週に車を擦った」といった投稿に対し、ネット上では「幸せを感じると次に起こる悪いことが怖くて手放しで喜べない」「運のストックを使い果たした気がする」といった共感の声が数多く寄せられています。
また、エンターテインメント界でもこのテーマは強い関心を集めています。2025年秋に放送され話題を呼んだ間宮祥太朗と新木優子のW主演ドラマ『良いこと悪いこと』では、小学校のタイムカプセルから発見された「顔が塗りつぶされた卒業アルバム」を発端に、かつての同級生たちが不審死を遂げるサスペンスが展開されました。同作が描き出した「誰かにとっての良いことが、別の誰かにとっての致命的な悪になる」という残酷な構図は、善悪の境界がいかに主観的で脆いものであるかを視聴者に突きつけ、考察コミュニティで激論を呼びました。
現実社会の人間関係においても、「良かれと思って言ったアドバイスが相手を激怒させた」といった「言っていいことと悪いことの境界線」をめぐる摩擦は後を絶ちません。現場のカウンセラーからは、「事象そのものに絶対的な善悪はなく、当事者の文脈や解釈によって180度変わるという視点を持つことが、対人ストレス軽減の第一歩になる」という指摘がなされています。