清水寺の本堂舞台脇に鎮座する鉄製の手回り品は、一見すると中世の豪傑が振り回した武器のように見えます。しかし、現場で実際に計測・記録されている数値を検証すると、一般的な大人の筋力を遥かに凌駕するスペックが浮き彫りになります。
設置されているのは、主に約96kgの大錫杖、約14kgの小錫杖、そして両足で約12kgある鉄下駄の3点です。寺院関係者の記録や現地の観察調査によると、大錫杖を持ち上げようと試みる参拝者のうち、床面から完全に浮かせることができる人の割合は全体の1%未満にとどまります。成人男性であっても片側を少し傾けるのが関の山で、直立姿勢まで持ち上げられるのは本格的なウエイトトレーニングや格闘技の経験者に限られます。
一方で、小錫杖(約14kg)は成人男性の約85%、成人女性でも約40%が片手または両手で持ち上げることが可能です。現地では、大錫杖の圧倒的な重さに打ちのめされた後、小錫杖を持ち上げて安堵の表情を浮かべる参拝者の姿が日常的な光景となっています。