2012年5月30日夜、吉本興業東京本部で行われた緊急記者会見は、異様な緊張感に包まれていました。黒のスーツ姿で登場した梶原氏は、報道陣のフラッシュを浴びながら深々と頭を下げ、事態の経緯を説明しました。
会見の中で梶原氏は、声を詰まらせながら次のように語っています。
「福祉事務所の方と何度も相談し、不正は一切ないという認識で手続きを進めました。しかし、僕の勉強不足で、世間の皆様にこれほどの不信感と不快感を与えてしまった。その道義的責任を重く受け止めています」
梶原氏の言葉の端々には、「行政が正規に認めた手続きであった」という戸惑いと、「母親を守りたかったが、社会的な影響力を軽視していた」という後悔が色濃くにじんでいました。また、マンションのローンを早期に完済して生活費を仕送りできる目処が立った時点で受給を辞退する予定であったことも明かされました。
しかし、ネット世論の反応は極めて苛烈を極めました。当時の2ちゃんねる(現5ちゃんねる)やTwitter(現X)では、「親の面倒すら見ないで何が人気芸人だ」「税金に甘えるな」「芸能界から追放すべき」といった猛烈なバッシングが吹き荒れました。スポンサーへの抗議や出演番組への降板要請も相次ぎ、キングコングの活動は大幅な制限を余儀なくされます。
この猛烈な炎上の背景には、日本社会特有の深層心理が存在していました。長引くデフレ不況下で多くの一般家庭がギリギリの生活を維持している中、「数千万円のマンションを所有できる身内がいるにもかかわらず、公金が投じられていた」という事実が、納税者の公平感と倫理観を著しく逆撫でしたのです。