彼女を語るうえで、その音楽的バックボーンを無視することはできない。洗足学園音楽大学で学んだ確かな声楽とピアノの素養。それは単なる「プロフィールの一行」にとどまらず、彼女の表現の隅々にまで強固な血肉として通底している。クラシックの厳格な運指と、ロックやポップスが求める瞬発力。その二律背反を軽やかに、かつ情熱的に同居させられるプレイヤーは、現在の音楽シーンを見渡しても決して多くはない。
ステージ上での立ち振る舞いにも、その基礎体力の高さが如実に現れる。高速のアルペジオを駆け抜けながら、破綻することのないピッチでハイトーンを響かせる技巧。だが、彼女の真の魅力は単なるテクニックの誇示ではない。鍵盤を打鍵する瞬間の打音、ペダルを踏み込む微かな間合い、そして吐息ひとつに感情を乗せる感覚。そうした「譜面に書ききれない生々しさ」こそが、聴く者の胸を強く締めつける。