いま料理好きの間で熱視線を浴びているのが、日本の伝統発酵調味料とのマリアージュだ。香ばしく焼き焦がした小麦の皮は、実は大豆発酵の芳醇さと驚くほど波長が合う。京都の老舗割烹の料理人が賄いから生み出したとされる「八丁味噌とグリュイエールチーズのタルティーヌ」は、その筆頭格だろう。
薄切りにしたフランスパンに、みりん少々で伸ばした赤味噌を薄く塗り、たっぷりのチーズと刻んだ九条ネギをのせてグリルする。味噌のアミノ酸とチーズのコクが溶け合い、クラストの苦味と共鳴して深い余韻を残す。さらに、オリーブオイルとイカの塩辛をニンニクでさっと炒めてバゲットにのせ、仕上げに実山椒を挽くスタイルも大人の夜を確実に狂わせる味だ。