『恋をとめないで』を語る上で欠かせないのが、一度聴いたら脳裏から離れないオープニングの象徴的なギターリフです。BOØWYの解散を経てソロ活動をスタートさせた布袋寅泰が、吉川晃司という唯一無二のフロントマンを迎えて結成したCOMPLEX。そのファーストアルバム『COMPLEX』(1989年4月リリース)の制作現場において、この楽曲は極めて戦略的に生み出されました。
布袋寅泰は当時のインタビューや自著などで、吉川の伸びやかな高音域とダンサブルな身体性を最大限に活かすため、メロディラインとリフの絡み合いをミリ単位で構築したことを明かしています。カッティングの鋭さとポップな開放感を完璧に同居させたあのイントロは、日本のロックギター史における金字塔と評され、多くのフォロワーを生み出しました。
また、シングルカットされていないアルバム曲でありながら、ドラマの挿入歌やCMタイアップなどを経て事実上の代表曲へと登りつめた経緯も異例です。「ライブハウス武道館」を熱狂させてきた布袋のロック美学と、歌謡曲界から飛び出してロックの荒波に挑んだ吉川の野心がぶつかり合い、奇跡的な化学反応を起こした瞬間がこの曲に刻み込まれています。