歯列矯正によって得られる容姿の変化について、美容医療関係者や審美歯科の現場取材から浮かび上がってきたのは「下顔面(鼻下からアゴ先まで)のバランスが人間の審美知覚を決定づけている」という事実です。顔のパーツの中で、目元や鼻筋はメイクである程度補正できますが、口元の突出感や歯列の歪みは陰影を作り出し、自力でカバーすることが極めて困難な領域でした。
歯列矯正が劇的な垢抜けをもたらす最大の要因は、理想的な「Eライン(エステティックライン)」の形成です。鼻先とアゴの突起部を直線で結んだ際、上下の唇がそのラインの内側か線上にかすかに触れるバランスが美しい横顔の基準とされます。出っ歯(上顎前突)や口ゴボ(上下顎前突)が解消されると、前に突き出ていた唇が数ミリ単位で後退し、埋もれていたアゴのラインがシャープに浮かび上がります。
さらに見逃せないのが、「人中短縮効果」と錯視のメカニズムです。突出していた前歯が正常な角度に収まると、引っ張られていた上唇が自然な立体感を取り戻し、鼻下から唇までの距離(人中)が視覚的にキュッと短く引き締まって見えます。人間の脳は人中が短い顔貌を「幼い」「かわいい」「若々しい」と知覚する傾向が強く、これが「急激にかわいくなった」と周囲を驚かせる決定打となっています。
また、口が閉じにくかったことで無意識に入っていた「オトガイ筋の緊張(アゴの梅干しジワ)」が消え去る点も重要です。緊張が解けたアゴ先は滑らかな丸みを帯び、横顔だけでなく正面から見たときのフェイスライン全体に洗練された気品をもたらします。