「以前のようにバスで観光客を詰め込み、安売りするモデルは限界だった」。城崎や由布院、別府などで古くから宿を営む経営者たちは口を揃える。2024年以降、主要な温泉地が相次いで取り入れたのが、受入人数をあえて制限し、1人あたりの滞在価値を高める「クワイエット・ラグジュアリー(静かな贅沢)」戦略だ。
過剰な混雑を排し、静寂と地域固有の文化体験を提供する。客室数を半分に減らして一室あたりの空間を広げた老舗旅館や、地元の伝統工芸家と提携した体験型サロンの設置など、質の高い体験に投資する動きが加速した。結果として客単価は跳ね上がり、現場で働くスタッフの給与水準も劇的に向上。地域経済が健康な循環を取り戻している。