地方財政の健全化判断比率において、公営企業の資金不足が警戒ラインを超え、地方公営企業法に基づく京都市交通局の経営健全化団体への転落が現実味を帯びていたのは数年前のことでした。当時、記者会見の場で市幹部が見せた危機感は尋常ではなく、「あらゆる聖域を排した改革を行わなければ都市機能そのものが沈没する」という悲壮な空気が漂っていました。
それが一転、驚異的な決算好転を果たした最大の要因はどこにあるのか。京都市交通局の財政再建の理由を紐解くと、外部要因であるインバウンド需要の爆発的な復活だけに依存したものではないことが分かります。水面下で進められたのは、年間数十億円単位にのぼる徹底した人件費の抑制、外注化の推進、そして車両保守や駅務オペレーションのスリム化という冷徹なコストカットでした。
さらに、市バスに過度に集中していた観光客を単価の高い地下鉄へ力づくで誘導した施策が決定打となりました。移動需要を地下鉄へ逃がすことで、乗車人員1人あたりの収益効率を劇的に改善させたのです。京都市交通局の黒字化の真相は、単なる客数の増加ではなく、運送構造そのものを高収益型へと強引に再編した点に本質があります。