こうした制度の壁に対し、当事者や支援者たちは長年にわたり声を上げ続けてきました。オンライン署名プラットフォームや患者会主導の活動では、これまでに数万筆を超える署名が集められ、厚生労働大臣や国会議員宛てに「群発頭痛の指定難病認定と医療費助成の拡充を求める請願」が幾度となく提出されています。
2024年から2026年にかけての動向を見ても、超党派の頭痛対策議員連盟や学会関係者を巻き込んだロビー活動は着実に継続されています。特に、寛解期のない「慢性群発頭痛」に苦しむ重症患者に関しては、就労不能に陥り経済的に困窮するケースが多発しており、「少なくとも慢性群発頭痛だけでも指定難病の対象にすべきではないか」という絞り込みの議論も模索されてきました。
また、国際的な研究潮流も国内の議論を後押ししています。かつて米ハーバード大学のジョン・ハルパーン(John Halpern)氏らが行った研究や欧米での臨床試験において、セロトニン受容体に作用する特定化合物(シロシビン等)や新規ニューロモデュレーション機器(迷走神経刺激装置など)の寛解期間延長効果が報告され、海外では先端的な治療アプローチが活発化しています。日本国内でも抗CGRP抗体薬の適応拡大や難治性頭痛の病態解明が進められており、医療界からの問題提起は続いています。
しかしながら、厚生労働省の指定難病検討委員会において、対象疾患の見直しは財源の問題と厳格な公平性の原則に縛られています。2026年最新の指定難病リスト(全340疾患超)においても、群発頭痛は依然として収載に至っていません。署名活動によって世論の認知は飛躍的に高まったものの、制度の門戸を開くには「客観的な診断マーカーの発見」や「重症度基準の法制化」という科学的ブレイクスルーがなお求められているのが実情です。