お米に黒い斑点や着色が生じる原因は、栽培環境から収穫後の管理まで多岐にわたります。農産物流通の現場で区分される代表的な4つの原因を掘り下げます。
筆頭に挙げられるのが、米の黒い点とカメムシの因果関係です。稲の出穂期(穂が出る時期)から登熟期にかけて、カスミカメムシ類やクモヘリカメムシなどの微小害虫が水田に飛来します。まだ柔らかい米粒に針のような口吻を突き刺してデンプンを吸汁すると、その傷口が黒く壊死します。これが斑点米の原因と害の本質です。害虫といっても米の中に潜んでいるわけではなく、痕跡が残っているに過ぎないため、微量を口にしたところで腹痛や中毒を起こすリスクはありません。
次に多いのが「ヤケ米(熱障害米)」です。収穫後の籾を乾燥させる工程において、高湿度下で急激に乾燥させたり、生籾のまま長時間堆積して内部熱がこもったりすることで、米粒自体が褐色や黒褐色に変色する現象を指します。こちらも熱による変質であるため、ヤケ米は食べても大丈夫であり、健康被害を引き起こす毒素はありません。ただし、極端に焦げたような粒は炊飯後にパサつきを感じることがあります。
一方で、重大な注意を要するのが「黒カビ(真菌類)」です。精米袋の通気孔から水分が侵入したり、濡れた計量カップを米びつに入れたりすることで、高湿度環境下でクラドスポリウムなどのカビ菌が増殖します。カビが生えた米にはマイコトキシン(カビ毒)が含まれる恐れがあり、着色粒の健康被害として下痢、嘔吐、アレルギー症状などを引き起こす引き金になります。
さらに健康志向の高まりから消費が増えている玄米においても、表面に黒い筋や斑点が見られることがあります。この玄米の黒い斑点の毒性を心配する声も目立ちますが、多くは胚芽部分の自然な色素沈着や未熟粒の葉緑素の残り、あるいは白米同様のカメムシによる食害痕です。玄米特有の毒性が新たに発生しているわけではありません。