歌い手としての成功に甘んじることなく、彼女は早い段階から芝居の世界へ深く身を投じていく。松竹映画をはじめとする数々の映像作品への出演を重ねる中で、岡田奈々は「美少女アイドル」という強固なパブリックイメージを自らの演技力で塗り替えていった。
その覚悟が結晶となった作品の一つが、1983年に公開された大型時代劇巨編『里見八犬伝』である。深作欣二監督がメガホンをとった同作で、彼女は過酷な運命に翻弄される浜路と琴操の二役を熱演。絢爛豪華なキャスト陣がひしめく中で、彼女が見せた儚くも芯の通った演技と神々しいまでの美しさは、映画ファンの記憶に鮮烈な刻印を残した。清純派の殻を打ち破り、本格的な銀幕の女優へと飛翔した瞬間だった。