テレビ番組のロケ弁に「ゆで卵」が準備されていなければ機嫌を損ねる――そんな都市伝説のような噂が囁かれるほど、板東英二の食生活は異彩を放っていた。本人もしばしばテレビで「若い頃は1日数十個食べていた」「板東英二の身体の半分は卵でできている」と豪語し、共演者を驚かせていたのは有名だ。
この極端な食生活の原点は、戦後の貧しい幼少期と過酷なアスリート時代にある。終戦直後の物資が乏しい時代、栄養価の高い卵は極めて貴重な高級品だった。その反動に加え、投手として身体を徹底的に鍛え上げていた現役時代、手軽かつ安価に良質なタンパク質を補給できる食材としてゆで卵を選び抜いたのが始まりだ。固ゆでの黄身に塩を多めに振って食べるのが彼流のこだわりで、持ち歩く鞄の中には常に塩と卵が忍ばせれていたという。