幼くして当主の座を継いだシエル・ファントムハイヴ。彼の傍らには常に、容姿端麗にして一切の隙がない執事セバスチャン・ミカエリスが控えている。知識、教養、品格、武芸のすべてにおいて完璧。「ファントムハイヴ家の執事たるもの、この程度のことが出来なくてどうします?」という名台詞は、単なる矜持ではない。彼の正体が人間ではなく、召喚された「悪魔」であることの証左だ。
二人の関係を結びつけるのは、信頼や忠誠などという温かな絆ではない。シエルが自らの魂を代償に差し出すことで結ばれた、絶対的な契りである。復讐を遂げるその瞬間まで、悪魔は主人の絶対的な盾となり刀となる。主人が自らの力で復讐を果たす手助けをし、その最後を見届けたとき、セバスチャンはシエルの魂を喰らう。この歪で刹那的な主従関係こそが、物語全体を貫く緊張感の源泉となっている。