こうした事態に最も危機感を募らせているのが、業界の秩序を守ってきた日本音楽事業者協会(音事協)を中心とする伝統的な芸能プロダクション勢力だ。長年にわたりタレントを育成し、無名時代を経済的に支えてきた事務所からすれば、売れた途端に水面下の取引で実利を奪われる行為は到底容認できない。
長年、日本の芸能ビジネスを支えてきた専属マネジメント契約は、タレントの活動全般を事務所が一元管理することを前提に設計されている。しかし、個人SNSの普及やエージェント型の働き方を求めるタレントの増加により、契約の縛り自体が急速に形骸化しつつある。
「育ての親」としての権利を主張する事務所側と、「表現の自由と正当な対価」を掲げて直接契約へ走るタレント側。両者の対立はもはや感情論の領域を超え、契約不履行を巡る法廷闘争の予備軍として各所でくすぶり続けている。