かつてケネニサ・ベケレが2004年に刻んだ12分37秒35は、16年間誰にも破られない「不滅の金字塔」と恐れられていた。重力を感じさせないベケレのラストスパートは、当時の陸上界における絶対的な到達点だった。
その壁を越えたのがチェプテゲイだ。ウガンダの高地で培われた圧倒的な心肺機能と、どんなハイペースでもブレない強靭な体幹。彼はベケレのような「ラスト勝負」に頼るのではなく、序盤からハイペースを押し通してライバルを脱落させる独自のスタイルを完成させた。
パリオリンピックの激闘を経てなお、中長距離走の戦術トレンドは「我慢比べ」から「超高速巡航」へとシフトした。かつての英雄たちが敷いたレールの上を、次世代のランナーたちが更なるスピードで駆け抜けている。