優れた概念だからこそ、ビジネス文章やスピーチでの誤用は避けたい。言葉の誤用は、時に発言者の信頼性を損なう原因となるからだ。ここで改めて、間違えやすい表現と正しいビジネス表現を整理しておこう。
よくある誤用として「売上目標を醸成する」「新しいシステムを醸成する」といった表現が挙げられる。前述の通り、数値目標やシステムなどの具象物・短期間で作る構造物に対して「醸成」を使うのは誤りだ。「売上目標を設定する」「システムを構築する」と言い換えるのが正しい。
正しく使うための典型的な例文を挙げておく。
「新プロジェクトの成功に向けて、チーム内に確固たる一体感を醸成したい」
「オープンな対話を重ねることで、部署間の相互理解と心理的安全性が醸成された」
「若手が積極的に挑戦できる組織風土の醸成に全力を挙げる」
目に見えない「気風」「関係性」「意識」「文化」という抽象名詞とセットで使うこと。このルールを頭に入れておくだけで、文章の品格と説得力は格段に跳ね上がる。