昭和から平成初期にかけて、庭の柿の木や生垣を探せば当たり前のように見つかった大型のみのむしが、なぜ突如として姿を消したのか。その決定的な引き金となったのは、1990年代半ばに中国大陸方面から日本国内へ侵入したと推定される外来寄生バエ「オオミノガヤドリバエ」の爆発的な定着です。
1995年頃、福岡県をはじめとする九州北部でオオミノガの幼虫が異常な高率で死滅している現象が昆虫学者や農業試験場によって確認されました。調査の結果、オオミノガヤドリバエの幼虫がミノの中に潜り込み、宿主であるみのむしの体内に寄生して内臓を食い破ることで、寄生率が地域によっては95%〜ほぼ100%に達するという壊滅的な被害をもたらしていたことが判明したのです。
この寄生バエは極めて繁殖力が高く、瞬く間に瀬戸内海沿岸から近畿、東海、関東地方へと生息域を拡大しました。長年天敵のいなかった日本のオオミノガは免疫や対抗手段を持たず、わずか10数年のうちに生息数が激減。現在、多くの地域で「みのむし 最近見ない理由」として語られる現象は、都市開発だけでなく、この外来種による生態系クラッシュが直接の原因となっています。