あれほど街中に溢れていたヤンキーたちは、なぜこれほど急速に姿を消したのでしょうか。昔の不良が減った理由を分析すると、複合的な制度改革と社会環境の劇的な変化が浮かび上がります。
第1に、法制度と警察による徹底的な取り締まり強化です。2004年の道路交通法改正により「共同危険行為等の禁止」に対する罰則が大幅に強化され、集団暴走に対する直接検挙や運転免許の即時取消・欠格期間の延長が可能となりました。さらに、全国の自治体で暴走族追放条例が制定され、特攻服の着用や集会の開催自体が厳格に規制されたことが壊滅的な打撃を与えました。
第2に、学校現場の管理体制の確立と少子化です。防犯カメラの普及や生徒指導のシステム化、体罰の根絶と引き換えに進んだ出席停止や退学処分の厳格な運用により、学校内で非行集団を維持することが極めて困難になりました。
第3に、若者の価値観の根本的変容です。インターネットとスマートフォンの普及により、承認欲求を満たす舞台が「地元の路上」から「SNSのタイムライン」へと移行しました。目立つ威圧感や暴力性は賞賛されるどころか、デジタルタトゥーとして将来のリスクに直結する時代となったため、身体を張って不良を演じるコストとリスクが跳ね上がったのです。
それでは、当時荒れ狂っていた昔のヤンキーの現在はどうなっているのでしょうか。取材データや当事者の追跡調査によると、彼らの多くは20代前半までに家庭を持ち、建設業、運送業、自動車整備業、飲食業などを自営・就業し、地域社会の現場を支える屋台骨となっています。地元の祭りや消防団、PTAなどの地域コミュニティにおいて、かつて培った上下関係の礼儀や面倒見の良さを発揮し、頼れるリーダーとして定着しているケースが数多く見受けられます。