トップ下というポジションの変遷は、歴代のスター選手たちのプレースタイルの推移を見ることでより深く理解できます。
1990年代から2000年代初頭の黄金期を彩ったのは、ジネディーヌ・ジダンやロナウジーニョ、日本代表では中村俊輔といった圧倒的なボールスキルと視野を持つ選手たちでした。彼らはピッチ中央でタクトを振るい、ゲームのテンポを一人で自在にコントロールする存在でした。
2010年代に入ると、香川真司がユルゲン・クロップ率いるボルシア・ドルトムントで見せたような「俊敏なライン間でのターンと連続スプリントによるゴール前への侵入」がトップ下の新たなスタンダードを築きます。ボールを持ちすぎず、ワンタッチ・ツータッチで周囲を使いながら自らもボックス内に飛び込むアジリティ型トップ下が台頭しました。
そして2026年代半ば以降、世界の頂点で活躍するサッカートップ下有名選手の代表格が、ケヴィン・デ・ブライネやジュード・ベリンガム、そして日本代表の久保建英やドイツ代表のフロリアン・ヴィルツです。
彼らは中央にとどまらず、サイドのハーフスペースやポケットへ神出鬼没に現れ、自ら得点を奪うストライカーの決定力と、強烈なネガティブトランジション(守備への切り替え)を兼ね備えています。まさに「トップ下」と「インサイドハーフ」、さらには「ウインガー」の役割を高次元で融合させた完全無欠のフットボーラーへと進化しています。