再開発の重機が迫るなかで、奇跡のように残された新宿ゴールデン街の木造長屋群。わずか3坪ほどの極小バーがひしめくこのエリアには、今夜も世界中から旅人たちが押し寄せ、カウンター越しに肩を寄せ合ってグラスを傾けている。
火災リスクや耐震基準の課題を突きつけられながらも、店主たちは独自のコミュニティとルールを守り続けてきた。隣に座った見知らぬ誰かと文学や映画、あるいは他愛のない身の上話を語り明かす。効率とスケールメリットを至上命題とするメガ再開発の足元で、この小さな空間が放つ圧倒的な人間味こそが、新宿という街の魂を繋ぎ止める最後の砦なのかもしれない。